スルーの兎と、ヨルの保護

創作小説

【前世のない俺の、一度きりの人生】小話

 こちらのお話は、ツイッター上に少し出てきたスルーが飼っている兎と、それに伴って起こった悲喜こもごもです。

 スルーは昔から可愛いモノ小さいモノ赤ちゃんフワフワ、というようなモノを好んでおり、兎はその際たるものだったようです。

 野生の親から離れた子兎や、怪我をしている兎などを森で見つけては、子供の頃などは隠れて家の近くで飼っていたのでした。

 そんなスルーの兎のお話。会話文です。

※そのうち、このお話は【小説】中へ小話として挿入します。

 

スルーの兎と、ヨルの保護

 

スルー「おぉ。よしよし。かわいいな。かわいいな。お前は俺の次にかわいい子だ」

 

ヨル「(スルー。またアイツ、兎なんかを抱えて)」
オポジット「山肌の補正は、いつから開始する?」
ヨル「……すぐにでも」

 

子供達「あ!変わり者のスルーが、またウサギを持ってる!」
子供達「おいしそう!」
子供達「食べよう!」

 

スルー「やめろ!なんだ!お前ら!なんでそうウサギを見ると食いたがるんだ!この純粋なうさぎの目を見ろ!な?可愛いだろ?」
フロム「うまそう!!」
スルー「フロム!お前その顔止めろ!まるでオポジットじゃないか!?」
フロム「オヤジ!オヤジー!インの父ちゃんが、またウサギ持ってるー!」
スルー「止めろ!?お前!アイツは野蛮だから本気で、この子の皮をむしってくるんだぞ!?」

 

オポジット「ん、フロム?なんだ?ちょっと、すまないな」
ヨル「あぁ」

 

フロム「オヤジー!ほら!ここにまるまる太ったうさぎが居るー!」

 

オポジット「ほう!そうか!けど、俺は、今忙しい!お前が代わりに皮を剥いでおけ!」
ヨル「…………」
オブ「……また、スルーさんか。騒がしい」

フロム「わかったー!」

スルー「うおおおおい!!お前ら親子は野蛮だ!野蛮で非道で、まるで酷い親子だ!おいっ!来るな!近寄るな!フロム!この子はお前ら親子の胃袋を満たす為の子じゃない!今日はお散歩の日なんだ!たまにはお日様を浴びせてやらなきゃ可哀想だから……」

イン「おとうさーん!大変だよ!ピーちゃんが、籠から逃げだしちゃった!」
スルー「おいおいおい!逃げ出しちゃった!じゃない!外には絶対出すなよ!?」
フロム「うまそう!」

イン「あ!オブだ!おーい!オブー!」
スルー「おいっ!イン!オブよりピーちゃんだろ!?」

 

イン「オブ!と、ヨルさん!こんにちは!あと、フロムのお父さんも、こんにちは!」
ヨル「ああ」
オブ「イン!」
イン「オブ!」

 

スルー「インっ!お前!毎日オブと遊んでる癖に、どうして毎度毎度、長い事離れ離れだった二人の感動の再会みたいなのをやってのけられるんだ!そんなオブよりピーちゃんだろ!って!オイ!フロム!俺に触るな!この子はお前の昼飯じゃない!」
フロム「俺!皮剝ぐの上手くなったんだぜ!ニアに見せてやろ!」
スルー「俺の大事なモノを2つ共奪おうとするな!?このクソガキ!」

 

ヨル「……おい」
オポジット「なんだ?」
ヨル「……兎を食うというのは、冗談か?」
オポジット「ははっ!まったく、面白い事を言うじゃないか!」
ヨル「(……冗談か)」
オポジット「もちろん、食うさ!」
ヨル「っ!?」
オポジット「そりゃあ兎だ!食うだろ!俺は子供の頃から、スルーの兎は殆ど食べてきたぞ!」
ヨル「……いや。待ってくれ、あれは。その、愛玩用ではないのか」
オポジット「あいがんよう?なんだそれ?兎は食い物だろ?それをアイツが可愛いだなんだと、家で食いもせず、逆に餌までやるもんだからな。俺はてっきり、太らせて食うのかと見ていたが、何時まで経ってもアイツは食わん。だから俺も子供ながらに、思ったさ。このままじゃ食い頃を逃しちまうってさ」
ヨル「……」

 

———この子は、俺の次に可愛いから!俺の家族だ!

 

ヨル「……」
オポジット「もう、見るからに食べごろでまるまると太って……そう、今のアイツが持っているヤツみたいにな。だから俺はアイツが居ない間に、皮を剥いで食べやすいように、肉を削いでやった!」
ヨル「う」

 

———森の王になるんだ!

 

ヨル「……」
オポジット「まぁ、俺だって泥棒じゃないからな。ちゃんと削いだ肉はきっちり二等分にしたさ。しかも、あの時は夏だったからな。生のままだと痛むと思って焼いて火まで通して!あと、兎の油は火を焚くのにも使える!毛も防寒用の服飾にも使える!全部、全部!ちゃんと二等分してやった!なのに、アイツときたら」

 

———うわああああ!オレの!オレの!ひみつの家族がっ!オポジット!お前はやばんだ!ひどいやつだ!
———はぁ?お前、何言ってるんだ?ほら、これ兎から出た油。こっちは毛。やるよ。
———あああああ!お前!許さん!
———なんだ?意味がわからん。せっかく俺が手間かけてやったのに、礼も言えねーのか!
———いだっ!いだだだ!なんで!なんでオレが殴られなきゃならないんだ!かえせ!オレのひみつの家族を!

 

オポジット「って。泣きわめきながら怒ってきて。腹が立って、俺はスルーをボコボコにしてやったな。懐かしいなぁ!」
ヨル「……それを、何度も、か」
オポジット「おう!兎は貴重な食糧だからな!アイツ、いつも食べないから、代わりに俺が食ってやっている」
ヨル「……」

 

イン「オブ!オブもうさぎが食べたいなら、うちに居る子を一人あげようか?」
ヨル「っ!?」
オブ「一人って……いや。いい」
イン「かわいくて、おいしいよ?」
オブ「いや。大丈夫です」
ヨル「(スルー……)」

 

スルー「フロム!待て!待て!お前、その目!オポジットそっくりのその目をやめろ!イン!ピーちゃんは!?」
フロム「今日はうさぎなべをかーちゃんに作ってもらおう!」

スルー「お前ら本当にサイアクだ!!サイアクだ!あああああ!」

ヨル「(……あの兎、家の屋敷で少し面倒をみてやるか)」

 

後日談
ピーちゃんは、ちゃんと家の柱の上に止まっているところを、無事スルーによって捕獲されました。そして、兎はしばらくヨルがこっそり飼ってあげました。

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